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先日から海外版の遊戯王(TCG)にて新たなリミットレギュレーションが適用されています。
その規制改定では長きにわたり禁止カードであり続けていた「刻の封印」も制限復帰されるとあって、日本でも注目を集めました。
そこで今回は「刻の封印」についてもう一度おさらいし、日本版の遊戯王(OCG)の環境なども踏まえて考察していきたいと思います。
「刻の封印」について軽くおさらい!
通常罠(禁止カード)
次の相手ターンのドローフェイズをスキップする。
まず初めに「刻の封印」がどんなカードで、なぜ禁止カードとなったのかをおさらいしていきます。
「刻の封印」とは、次の相手ターンのドローフェイズをスキップする効果を持つ通常罠カードです。
極めてシンプルなドローロック効果であり、ドローさせないことによって相手のハンドアドバンテージを奪うことができます。
このカード自体が罠カードなこと、スキップするのは“次の相手ターン”のドローフェイズであることから、セットしてから実際に効果が表れるのは次の次の相手ターンとなります。
ドローロックは自分が有利な状況で相手の逆転を封じるためにするのが基本ですので、このタイムラグは決して無視できるものではありません。
発動や効果を無効にされない限りは効果を使えるものの、フィールドに干渉する効果ではないことや上記のタイムラグなど欠点も目立つため、「刻の封印」単体での性能は高いとは言いづらいです。
そんな「刻の封印」がなぜ禁止カードになったのかですが、主な原因は「刻の封印」を使い回すループコンボの存在です。
当時「月読命」と「闇の仮面」の効果によって「刻の封印」を繰り返し使うというループコンボが発見され、そのコンボを目的とした「TOD(タイム・オーバー・デスの略称)」デッキが大会環境で活躍しました。
「TOD」デッキとは、簡単に言うと1セット中に制限時間を超過した場合その段階でライフが多い方がマッチの勝者となる、2セット中に制限時間を超過した場合1セットの勝者がマッチの勝者となる、というルールを利用したデッキのことです。
ループコンボ等の遅延行為を行い制限時間を超過させることで、判定によりマッチキルをすることが出来るというわけです。
当然といえば当然ですが、ルールの穴を突いた「TOD」デッキの勝ち方は物議を醸すものとなり、「刻の封印」は「TOD」デッキの代表的なカードとして敵視するプレイヤーも少なからずいました。
そういった経緯もあって「刻の封印」は禁止カードに規制されました。
「刻の封印」が復帰したらやばそうだが、現環境では?
前述した理由で長い間禁止カードであった「刻の封印」ですが、TCGではなぜ制限復帰するに至ったのか。その理由について推測していきたいと思います。
1つ目の理由は規制された当時との環境の違いかと思います。
高速化した昨今では少ない手札や墓地・除外のカードを活用することで展開などしていくことがそう難しくないため、「刻の封印」でドローロックを1度したくらいでは相手の戦術を抑え切ることが厳しくなったというのが現状です。
また「刻の封印」を繰り返し使うループコンボにしてもTCGの現環境では必要なコンボパーツが多く実現しやすいとはとても言いづらいため、コンボパーツを採用せずに他のカードを使って制圧盤面の構築やワンターンキルを狙った方が効率的というデッキはかなり多いかと思います。
2つ目の理由がTCGとOCGのルールの違いです。
TCGでは大会でのサレンダー(降参)が公式に認められているため、前述した「TOD」デッキのようなループコンボ等の遅延行為をすることで1セット目でマッチキルを狙うという動きをしようとしても、サレンダーすれば2セット目のデュエルに移ることによりマッチキルを回避できます。
このルールの違いによって仮に「刻の封印」が使い回されることがあったとしても、マッチキルをすることは出来ないため凶悪性は抑えられることでしょう。
では「刻の封印」はOCGでも制限復帰できるのかについてですが、個人的には可能性は低いように思います。
確かに「刻の封印」は単体でのカードパワーは高いとは言えず、高速化した昨今では更に利点が減ったと評価できるカードです。
「TOD」デッキに関しても、「刻の封印」が禁止カードになった当時と現在では制限時間を超過した場合のルールが異なるため、判定によるマッチキルを狙うのはますます現実的ではなくなりました。
では何が問題なのかというと、
一番の懸念点は「ラビュリンス」テーマの存在です。
「ラビュリンス」はデッキビルドパック タクティカル・マスターズで登場した悪魔族テーマであり、通常罠カードをサポートする効果を駆使するのが最大の特徴です。
「ラビュリンス」デッキでなら通常罠カードである「刻の封印」を使い回すことは十分可能であり、状況次第では「刻の封印」によるドローロックを数ターンにわたって仕掛けられる可能性もあります。
いくらドローロックの影響が昔よりも小さくなったとはいえ、数ターンにわたって通常のドロー無しで戦い続けられるテーマデッキはかなり限られるでしょう。
フィールドに影響を及ぼさない「刻の封印」を「ラビュリンス」デッキで積極的に採用する価値があるカードなのかについては何とも言えませんが、“引き込むことも使い回すこともやろう思えばできる”というのが不安なポイントです。
筆者がただ心配し過ぎているだけかもしれませんが、「ラビュリンス」はTCGにはまだ登場していないテーマなこともあり、相性とその影響については気になる所です。
TCGに「ラビュリンス」が登場した後の影響を見てから、OCGで「刻の封印」を制限復帰させるかどうか考えるというのもあり得るかもしれません。
まとめ!
古参プレイヤーであれば、「刻の封印」の凶悪さを知っている方も多いかと思いますし、日本での復帰も反対する人もいることでしょう。
遊戯王において、ドローフェイズのドローは手札にカードを引き込むのに大事な、ターンフェイズであり、それをスキップされてしまうことは、キーカードを引き込めず、逆転することが困難になります。
現環境であれば、「刻の封印」が制限で戻ってきたところで、ドローロックコンボを仕掛ける難易度は以前より増しましたが、やはり「ラビュリンス」の存在が気になるところですし、今後罠カードを主軸とした新規テーマが出る可能性を考えると、「刻の封印」の制限復帰への賛成は難しいところです。
海外で制限復帰した「刻の封印」が日本にどのような影響を与えるのか、楽しみ半分、不安半分というのが、個人的な意見になります。